私が2017年10月にチェコ共和国の首都プラハで受けたチェコ語能力試験B1の経験を元に、何点かに分けて情報をお届けします。
これから試験を受けようと考えている方の参考になれば嬉しいです。
1.試験のレベル
この試験には5つのレベルがあります。難易度が低い順から並べると次の通り。
A1 → A2 → B1 → B2 →C1
A1が一番簡単な試験で、C1が一番難しい試験です。
大まかに分類するならば、レベルAが初級、レベルBが中級、レベルCが上級となるのではと思います。
A1は、チェコで永住権を取りたい人が、受ける試験でもあります。
チェコ語で教えているチェコの大学で勉強をしたいと考えている人は、A2以上の試験に合格する必要があるようです。
各大学学部で必要とされる語学レベルは、こちらをご参照下さい。
C1は、チェコ人でも難しい試験だとのこと、語学力だけではなく、チェコの一般常識(文化・政治など)も知っていなければいけないと聞いています。
2.B1って、どれくらいのレベルなのか?
日本人にはお馴染みの英語の試験TOEICにも、公式問題集があるように、チェコ語能力試験にも問題集がありますが、
現在のところ、B1とB2のみ、問題集が発行されています。
ちなみに、現在、A2の問題集を作成中だとのこと。
B1とB2の問題集に、それぞれのレベルとはどれくらいのものなのかという詳細な説明が載っています。
ここではB1の詳細をご紹介します。
私が日本語に翻訳したものです。
★読解力
日常でよく使われる、または自身の仕事に関係する単語や表現を含む文章を理解することができる。
イベントの記述、感情表現、親しい間柄の人との手紙の内容を理解することができる。
★聴解力
職場や学校、自由時間によくある一般的なテーマにおいて、文法的に正しい言葉で話している主な内容を理解できる。
比較的、ゆっくりでわかり易い発音であれば、多くのラジオやテレビ番組の意味、または、現代の出来事、個人的な事や仕事で興味がある事に関するテーマを理解することができる。
★スピーキングにおける自己表現力
出来事や自分の経験、夢、希望、目標を言葉で表現するため、簡単な方法で、フレーズを繋ぐことができる。
自分の意見や予定を、短く、理由を述べたり説明することができる。
物語や出来事などストーリーを話したり、本や映画の内容を話し、自分の反応を表現することができる。
★会話力
旅行中にある大概の状況において、アドバイスをすることができる。
自分が知っているテーマ、興味があるテーマ、もしくは日常に関するテーマ(例:家族、趣味、仕事、旅行、最近の出来事)であれば、事前準備なしで、会話に入ることができる。
★記述力
よく知っている事や個人的に興味がある事に関するテーマで、簡単な筋の通った文章を書くことができる。
親しい間柄の人への手紙で経験や感想を書くことができる。
3.試験
各レベルの試験内容については、カレル大学語学研究所ÚJOP UKのこちらのサイト上、
もしくはそこからアクセスできるPDFで確認できますので、ここでは、私の経験談を書かせて頂きます。
試験当日は、試験が始まる30分前までに会場に来るように言われていました。
ヨーロッパ生活が長い私でも、日本人としての習慣はまだ残っていて、「念のため」と45分前に会場へ。
私が会場に着いた時に、受付で待っていた受験者は、たった一人でした。
「あんまり受ける人いないのかな・・」と思いましたが、その後、続々、約100人(B1とB2受験者)が受付に集まっていました。
聞こえてきた言語から予想するところ、ほとんどが、ウクライナやロシアの方々だったと思います。
彼らにとって、この能力試験に受かることは、チェコでの良い仕事への就職に繋がるため、受ける人が多いと聞いています。
試験が始まる15分前になっても、受付は始まりませんでした。
なぜだと思いますか?
受付の前に、警察官がパスポートを厳重チェックするんですが、
その仕事を任されていた、警察官の方々、遅れて会場入りです(苦笑)。
チェコで外国人警察を経験したことがある方にはお分かり頂けると思いますが、
外国人警察関係の警察官は、見た目も態度も怖い(汗)。
ÚJOP UKのサイト上の動画で試験当日の流れは、だいたい分かっていましたが、ひとつ疑問がありました。
筆記試験の後、最後にústní část(スピーキング)の試験があり、遅くて午後5時半までかかると注意書きがあったんですが、
お昼ごはんはいつ?
「腹が減っては戦はできぬ」ですよね(笑)。
筆記試験の最後の項目psaní(ライティング)が終わり、教室を出たら、その出たドアの廊下側に、
ústní část(スピーキング)の試験のペアと開始時刻の発表の紙が張ってあり、それを確認して、時間があればお昼を食べに行き、
時間がないなら、教室の前で待機といった流れでした。
ちなみに、ペアの発表の紙には名前は書かれておらず、受験者の試験番号のみでした。
私の場合、試験会場がホテル内だったので、ホテルのレストランで、昼食をとりました。
いずれにせよ、試験は長時間にわたるため、休憩時間にさっと食べれる物や飲み物を持っていくことをお勧めします。
試験中、ひとつハプニングがありました。
poslech s porozuměním(リスニング)の試験では、まず、問題用紙に解答を書き、最後の数分で、解答用紙に書きます。
その時間がまったく足りなくて、解答用紙の半分も埋められなかった受験者が、激怒して
「解答用紙に書き込む時間が、言われた時間より短かった!」と口論。
喧嘩腰で威圧感たっぷりの口論が15分ほど繰り広げられ、
最終的に、その受験者は最後のústní část(スピーキング)の試験を受けることなく、試験会場を去っていきました。
私は、解答用紙に書き込む時間が短かったとは感じませんでした。
問題用紙に書いた解答と書き違いないか、3回、見直す時間があったほどです。
これは、私の推測に過ぎませんが、「時間がまったく足りない」と感じる方は、
きっと、問題用紙に書いた解答をただ単に解答用紙に写すという作業をしているのではなく、
「本当にこれでいいのか」と問題を見直しながら、書き写しているのではないかと。
私個人のアドバイスとしては、poslech s porozuměním(リスニング)の試験では、まず、解答用紙に答えを全部書き終えてから、見直しする時間があればすることです。
問題用紙に解答は書かず、最初から解答用紙に書いている人もいたので、それもいいのかもしれません。
今後、またひとつ上のレベルの試験を受けるつもりですので、
その時、新たに気づいたことがあれば、シェアさせて頂こうと思っています。